淀川寮・救護施設 副主任・2006年中途入職
吉本剛YOSHIMOTO TAKERU
大学では、臨床心理学を専攻し、人のこころや行動に関する専門知識を学んでいました。その頃から、人が成長したり変化したりすることを、そばで支えるような仕事に就きたいと思い、福祉分野へ。みおつくし福祉会には2006年4月に入職しました。入職当初は、児童心理治療施設で働いていましたが、2010年に淀川寮へ異動し、今年で11年目になります。ここは、救護施設と更生施設が一つの敷地内に併設された、少し珍しい形態の生活保護施設。私は救護施設の方を担当していますが、入所者は18歳以上の単身男性なので、対象は子どもたちからガラッと変わりましたね。それでもここは、利用者さんが地域で生活したり、次の仕事をさがすために、もう一度がんばる場所でもあるので“成長や変化を支援する”という点で方向性は同じなんです。
救護施設は、障がいや疾病など何らかの課題(生きづらさ)のために、日常生活が困難になった方が利用する生活保護施設。仕事をしてもうまく続かず、本人はその理由すら分からないといった発達障がいの方がいたり、経済的に自分一人で生活することが難しくなってしまった生活困窮者など、入所理由は人それぞれです。元々ひとりで生活していた方が集団生活になったり、全く知らない人の職員といきなり親密になることは難しい。いかにそういう方の気持ちに寄り添いながら、信頼関係を築いていくかということが重要になってきます。一人ひとりの利用者さんに真摯に向き合うことが大切ですね。個別に抱える課題を一つひとつ解決しながら、自立し生活していくための工夫を一緒に考えていきます。仕事は多岐にわたりますが、少しずつでも前進したと感じられたときはうれしいですね。課題が解決し、ご本人が地域で安心して生活できるような環境を整えて退所されたときは「よかったなぁ、がんばってや!」と心から思います。
今は、ほかのスタッフとともに利用者支援に携わりながら、副主任として現場のまとめ役を担っています。利用者さんと支援員との関係性を気にかけたり、スタッフが働きやすい環境をつくることなど、現場の調整役ですね。
この仕事の醍醐味は、入所してくる方をサポートする中で“人と人をつなぐ”ことなんじゃないかと思っています。退所後に私たちができることは多くはありませんが、それでも地域に出た後も、見守りのサポートにつなぐ、介護サービスにつなぐ等々、人とのつながりを増やすことはできます。いろんな見方が必要になりますし、知識も増えます。自分自身を成長させてくれる素敵な仕事です。
社会のセーフティネットとして、“大事な仕事はここにある”という強い思いがありますので、この仕事に関わっているということ自体が、自分の中でとても大切なことなんです。退所した方が「この場所があったから、今生きていることができる」と感じてくださっていたら一番の喜びですね。